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新型コロナウイルス感染症の後遺症による皮膚症状・期間・治療法について

蕁麻疹は食べ物や薬によるアレルギー反応によるものや、暑さ寒さ、日光などさまざまな原因によって起こる皮膚症状です。皮膚科では新型コロナ感染患者以外でも一般の診察でよく見る症状ですが、新型コロナウイルスによる蕁麻疹にはどのような特徴があるのか詳しく見ていきましょう。

目次

新型コロナウイルス後遺症による蕁麻疹・湿疹などの皮膚症状の特徴

新型コロナウイルスの後遺症には、咳や息切れ、頭痛、疲労感や倦怠感などの風邪やインフルエンザに罹患したときと似た症状があるほか、睡眠障害、下痢、記憶障害、集中力低下、味覚障害が起きる場合があることも分かっています。

また、蕁麻疹のような湿疹が現れるケースもあります。 新型コロナウイルスに感染したときに現れる湿疹や蕁麻疹は、後遺症としてだけではなく新型コロナワクチンを接種した後に現れることがあります。一般的な蕁麻疹と新型コロナウイルスの後遺症としての蕁麻疹の症状の違いや特徴について詳しく解説します。

新型コロナウイルス後遺症による蕁麻疹・湿疹の症状

新型コロナウイルス後遺症による蕁麻疹・湿疹の症状は、新型コロナウイルスに感染してから7日以内に発症するケースが多く、感染後7日を過ぎてから蕁麻疹や湿疹のような皮膚症状が出る人は比較的少ないことが分かっています。
さらに新型コロナウイルスの後遺症としての蕁麻疹や湿疹は、麻疹のような赤く盛り上がったものでそのほとんどが体幹や手足に現れるとされています。

新型コロナウイルス後遺症による蕁麻疹・湿疹の原因

新型コロナウイルスの後遺症として起こる皮膚症状は、蕁麻疹と紅斑性発疹がもっとも多く見られます。後遺症の蕁麻疹の原因は、T細胞免疫の活性化や肥満細胞の脱顆粒と関係があると推定されていますが、はっきりとした原因は分かっていません。

また、新型コロナウイルスに感染したことが直接の原因ではなく、感染後のストレスや長時間マスクを着用すること、頻繁に行う手洗いや消毒が影響していることも否定できません。このように新型コロナウイルス後遺症の蕁麻疹や湿疹は原因が分からないため、いまだ治療法が確立していないのが現状です。

新型コロナウイルス後遺症による蕁麻疹・湿疹以外の皮膚症状

蕁麻疹とは、皮膚の一部が突然赤く盛り上がる症状ですがしばらくすると消えます。新型コロナウイルス後遺症で起こる皮膚障害には、蕁麻疹を含めて主に紅斑丘疹、小水疱、網状皮斑、COVID toeの5つがあるとされています。

紅斑丘疹は、赤いまだら状のぶつぶつが体中にできる症状で、ほかのウイルス感染でも麻疹や風疹などと共に起こる皮膚症状です。小水疱は体中に小さな水ぶくれができます。網状皮斑は別名リベドとも言われ、両脚に網目状の紫紅色や暗紫褐色をした斑が現れます。この紫斑は皮膚内の出血によってできたもので、新型コロナウイルス感染で血管の炎症が起こることが原因と考えられています。

また、COVID toeはコロナのつま先と言う意味で霜焼け状の病変が足や手のつま先だけにできます。COVID toeは皮膚症状の中でも比較的軽症で、若い世代の人に多く見られる症状です。 これらの5つの皮膚症状以外にも、症例は少ないですが水痘様皮疹ができる場合があります。

新型コロナウイルス後遺症による蕁麻疹・湿疹はいつまで続く?治るまでの期間について

新型コロナウイルス後遺症の蕁麻疹や湿疹は、急性期から続くもの、急性期から回復した後になってから出現するものがあります。また、蕁麻疹や湿疹の程度は時間が経つにつれて変化し、症状が治まったと思ったらまた発症するケースもあります。

新型コロナウイルス後遺症の蕁麻疹や湿疹が発症する平均期間は12日間程です。また、半数以上の人が5か月以内に症状が改善したと感じるといわれています。しかし1年以上蕁麻疹や湿疹の症状が続く人もいるため、湿疹や蕁麻疹を含む後遺症を含むすべての後遺症の経過や治まるまでの期間には個人差があると言えるでしょう。

新型コロナウイルス後遺症による蕁麻疹・湿疹を予防する方法はある?

新型コロナウイルス後遺症の蕁麻疹や湿疹を予防するには、まず新型コロナウイルスに感染しないことが重要です。新型コロナウイルスワクチンを接種していても、感染しないわけではありません。基本的な新型コロナウイルス予防である手洗いや消毒は常におこなうようにしましょう。また3密を避けることも引き続きおこないましょう。

人と接するときはマスクを着用し、適度な距離を保ってください。会食する際も、飲食する以外はマスクを着用して会話を楽しみましょう。

また、頻繁な手洗いや消毒が皮膚トラブルの原因になることもあります。感染症対策をしながら皮膚を保護するためには、手洗いの際に洗剤成分が残らないようしっかりすすぎましょう。しっかり洗えていれば、洗った後の消毒薬は必要はありません。手洗い後は、手指を保護するためのハンドクリームなどをこまめに塗るとよいでしょう。

新型コロナウイルス後遺症による蕁麻疹・湿疹の疑いがある方の受診の目安と治療法について

新型コロナウイルス後遺症による蕁麻疹や湿疹の疑いがある場合の受診の目安や治療法についてお伝えします。現段階では、新型コロナウイルス後遺症で皮膚症状が起こる明確な原因や症状が出やすい人のタイプなどは分かっていません。

新型コロナウイルスに感染する前は皮膚の病気になったことがない人でも、新型コロナウイルス感染後に皮膚症状が出る場合があります。蕁麻疹や湿疹は、かゆみや痛みなどの辛い症状があるだけではなく見た目にも影響が出るため早めに医療機関を受診する方が安心でしょう。

受診の目安はどんな場合?

新型コロナウイルス後遺症による蕁麻疹や湿疹が日常生活に支障が出るほど強くある、または症状が4週間以上続いている場合は早めに医療機関を受診しましょう。
受診する診療科は皮膚科が一般的ですが、住んでいる自治体の相談窓口に相談してもよいでしょう。

新型コロナウイルス後遺症による蕁麻疹・湿疹の治療法

現在の時点では、新型コロナウイルス後遺症に対しての治療法は確立していません。
そのため蕁麻疹や湿疹で医療機関にかかるとそれぞれの症状に合わせた対症療法が行われます。
蕁麻疹や湿疹の一般的な治療法である塗り薬のステロイド外用薬を処方されるケースが多いでしょう。
また症状が重い場合は、ステロイド内服薬が処方されることもあります。

新型コロナウイルス後遺症による蕁麻疹・湿疹についてまとめ

新型コロナウイルス後遺症による蕁麻疹や湿疹は、急性期に発症する場合だけではなく、ワクチンを接種したときに起こるものや、感染の症状が治ってから蕁麻疹や湿疹が出る場合など症状の出方や治るまでの期間はさまざまです。

後遺症に関しては詳しい原因が分かっていないため、医療機関を受診すると対症療法が行われます。
新型コロナウイルスの後遺症は、個人差がありますが自然に改善すると言われています。
しかし日常生活を送るのが辛いほど症状が強い場合や、4週間以上症状が続く場合は無理せず医療機関を受診するようにしましょう。

ライブリークリニックはコロナウイルス後遺症の専門クリニックです。気になる後遺症の皮膚症状があれば、お気軽にご相談ください。

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このページの監修医師

坂田 将彰

坂田 将彰

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経歴

  • 2019年 帝京大学 医学部卒業
  • 2019年 慶應義塾大学病院 入職
  • 2021年 大手美容外科 入職 分院長歴任
  • 2024年 LIVELY CLINIC