新型コロナウイルス回復後の後遺症の一つとして咳が続くことがあります。
新型コロナウイルスの後遺症は全般的に原因が解明されていないものも多く、罹患した際には自身の置かれる状況に不安を感じるでしょう。
どのような症状が出るのか、受診の目処はいつなのかなど、知っておくことが落ち着いた判断の一助となります。ひとつずつ確認していきましょう。
COLUMN
新型コロナウイルス感染症の後遺症による咳の症状・期間・治療法について
新型コロナウイルス感染症の回復後には後遺症が生じることがあります。
後遺症とは感染症の主な症状が消失した後、罹患時から継続する症状や回復後に新たに生じる症状など、症状全般を指すものです。
新型コロナウイルスに感染する人が増えてきたため、自宅療養期間が過ぎた後も、咳や声枯れに困る人の数も必然的に増えているのが現状です。
本記事では新型コロナウイルス感染症の後遺症として代表的なものの一つである、咳の症状について見ていきましょう。
目次
新型コロナウイルス後遺症による咳の症状とは?
新型コロナウイルス後遺症による咳の症状
咳の症状は軽いものから激しいものまでさまざまですが、なかには日常生活に支障をきたす事例も報告されています。
激しく咳き込むことで喉や胸の痛みにつながることもあり、体力も奪われやすくなることから、特に子どもやお年寄り、肺や気管支に持病がある人は注意が必要です。咳は感染時の症状が小さかったり、無症状だった人でも現れる可能性があり、症状が1年以上続いたケースも確認されています。
新型コロナウイルス後遺症による咳の原因
新型コロナウイルス後遺症の多くは、原因が未だに不明です。
ひとつの病態ではなく、いくつかの病態が絡み合った病態ではないかと考えられています。
現時点では、原因の1つとして新型コロナが内皮細胞や肺胞上皮に入り込み、血管周囲の炎症や免疫学的にダメージを与えることが挙げられています。
気管支喘息やアトピー喘息、肺炎など他の病気を併発している可能性もあります。
原因を探し当てて、症状を改善させるためには、可能性の高い疾患から除外していく必要があるでしょう。
新型コロナウイルス後遺症による咳以外の呼吸器症状
新型コロナウイルス後遺症としてみられる呼吸器症状には、咳以外にも、痰、息苦しさ、胸の痛みなどがよく知られています。
呼吸器症状は新型コロナウイルス感染症の後遺症として発生する頻度が高いことが分かっており、これらの多くは時間の経過とともに回復していきますが、時間が経過しても回復せず重症化・悪化してしまう方もいます。
特に感染時になかった息苦しさが突然現れた場合や、感染中から続く息苦しさが悪化している場合などには注意が必要です。
早期に治療が必要となる可能性があるので、かかりつけ医や専門機関に相談しましょう。
新型コロナウイルス後遺症による咳はいつまで続く?治るまでの期間について
6割近くの方は1か月以上後遺症が続いており、長い人だと半年から1年単位で続きます。
風邪による咳と比較すると、風邪の場合は1週間ほどで治ることがほとんどですので、罹患期間の長さの違いは一つの判断基準として考えられるでしょう。
個人差がありますが、コロナ療養期間よりも、後遺症のほうが長引く可能性が高くなっており、長期間悩む方も少なくありません。
なかにはこういった後遺症の長期化により、就業や学業の継続が困難になる場合もあります。
新型コロナウイルス後遺症による咳を予防する方法はある?
最も重要な予防方法は新型コロナウイルス感染症自体に罹患しないことです。
感染対策を行いながらレジャーや旅行、飲食を楽しみましょう。
しかし、十分な予防を行っていても罹患する可能性はあります。
現在、複数の専門家が説得力のある結論とみているのは、「初期のウイルス量が多かった患者に後遺症が多く見られるため、診断直後に抗ウイルス薬を投与すれば後遺症を防げる可能性がある」というものです。
ウイルスを早く消滅することで、後遺症の原因と考えられる持続感染や自己免疫疾患を抑えることを狙いとしたものですが、咳の症状を予防する方法は残念ながら確立されていません。
コロナ後遺症の咳の疑いがある方の受診の目安と治療法について
ここまで新型コロナウイルス感染症の後遺症としての咳の症状について、主に罹患するまでの概要を見てきました。
ここからはかかってしまった後の対応について解説します。
受診の目安はどんな場合?
日常生活に支障が出始めるほどの症状がある場合や、2週間ほど咳が続く場合は早めに医療機関を受診しましょう。
なお、受診の際には
- その症状が本当にコロナ後遺症か(他の病気によるものではないのか)
- 症状を和らげるために何ができるか
といった点を医師に相談することが望ましいでしょう。
そのほか、気になることがあれば近くのクリニックや自治体の相談窓口へ相談することもひとつの手段です。
新型コロナウイルス後遺症による咳の治療法
現段階では咳をはじめ、後遺症に対する治療法は確立されていません。
通常は自然治癒する場合が多いといわれていますが、必要に応じて症状を和らげたり無くしたりする対症療法が検討されることもあります。
たとえば、気管支拡張薬や去痰薬、鎮咳薬などが処方されることがあり、場合によっては漢方も併用されています。
なお、かかりつけ医などによる対症療法を行っても、半年以上回復が見込めない場合や、悪化する傾向がある場合などは、呼吸器専門医への紹介をされる場合があります。
また、レントゲンやCT検査などで異常が見られない場合には、精神・心理的要因の可能性があり、喉の詰まった感じや気管が狭くなったように感じることがあります。
これに対しては抗不安作用のある漢方薬の処方が行われています。
新型コロナウイルス後遺症による咳についてまとめ
新型コロナウイルス感染症自体も究明中である事柄が多数存在しており、変異株の存在があることからもまだまだ不明瞭な部分が多いです。
その後遺症はさらに原因として考えられることが多岐にわたっています。
罹患後、後遺症と疑われる症状が出た際にはどのようなことに留意すべきか、事前に理解しておくことがスムーズな対応の一助になります。
新型コロナウイルス後遺症による咳の予防法・治療法はともに現時点では確立されていませんが、かかりつけ医や自治体の窓口にしっかりと相談して対処していくことが可能です。
後遺症は長引けば日常にも少なくない影響を及ぼします。
ご心配な方は一人で抱え込まずに医療機関に頼ることで適切な対応をしていくことが何よりも大切です。
ライブリークリニックはコロナ後遺症の専門クリニックです。
エクソソーム治療については点滴のほかに、点鼻にて処置することも可能です。
気になる症状があれば、お気軽にご相談ください。