両施術の特徴を理解するために、まずはそれぞれの基本的なメカニズムと特徴を見ていきましょう。それぞれの違いを理解することで、自分が望んでいる施術はどちらなのかを判断しやすくなります。
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ほうれい線やシワの改善を検討されている方にとって、ジュブゼンとヒアルロン酸注射は代表的な選択肢です。どちらもシワや凹みの改善に効果が期待できる施術ですが、作用のメカニズムや持続期間、適した症状が大きく異なります。
本記事では、両施術の違いを詳しく解説しています。自分に最適な治療法を選択するためにも、ぜひ参考にしてください。
両施術の特徴を理解するために、まずはそれぞれの基本的なメカニズムと特徴を見ていきましょう。それぞれの違いを理解することで、自分が望んでいる施術はどちらなのかを判断しやすくなります。
ジュブゼン(JUVGEN)は、韓国で開発された自己真皮再生術です。専用機器を用いて、極細の注射針で二酸化炭素ガスとヒアルロン酸を真皮層に交互に注入する施術を指します。
皮膚表面ではなく内側から施術を行うため、副作用のリスクが抑えられており、安全性が高い治療法として注目されているのです。また、レーザー治療のように繰り返し施術を受ける必要がない点が、高く評価されています。ジュブゼンの詳細については、こちらも参考にしてください。
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ジュブゼンの効果は、物理的・化学的・生物学的な3つの刺激によって引き出されます。
仕組みとしては、まず二酸化炭素ガスとヒアルロン酸を0.001ccずつ交互に注入し、線維芽細胞を活性化させます。注入された二酸化炭素ガスが皮膚組織内の水分と反応して炭酸を生成し、血管拡張を促進させます。これにより酸素や栄養分が真皮層に豊富に運ばれ、コラーゲン生成に必要な細胞代謝が向上します。
活性化された線維芽細胞が新しいコラーゲンとエラスチンを生成し、この新生したコラーゲン繊維組織が内側から真皮層を押し上げます。その結果、シワや凹みを改善できるのです。
ジュブゼンの最大の特徴は、自己組織の再生を促す点にあります。一度形成されたコラーゲン組織は患者自身の組織として定着するため、基本的に半永久的に維持が可能です。また、ヒアルロン酸注射のように定期的な追加治療を必要とせず、長期にわたって効果を実感できる可能性があります。
効果は施術後2〜3ヶ月かけてじわじわと現れ、3〜6ヶ月で最終的な仕上がりに到達します。一度の施術でも効果はありますが、症状の程度によって1〜3回の施術がおすすめです。
ヒアルロン酸注射は、美容医療において最も普及している施術のひとつです。ヒアルロン酸は元々体内に存在する成分で、水分を保持する能力に優れています。表面的なボリュームアップに効果があり、即効性が高いという特徴があります。反面、持続性や深い凹みなどには期待した効果が発現しない可能性がある点に注意が必要です。
ヒアルロン酸注射は、製剤自体が物理的な充填材として機能します。注入されたヒアルロン酸が皮膚の凹んだ部分を直接持ち上げることで、即座にシワや溝を目立たなくさせる仕組みです。
製剤にはさまざまな種類があり、硬さや粒子の大きさが異なるのも特徴です。浅いシワには柔らかい製剤を、深い溝やボリュームが必要な部位には硬めの製剤を使用するなど、部位や症状に応じて適切な製剤を選択することもあります。また、ジュビダームシリーズなど、厚生労働省の認可を受けた製剤も多く、安全性が高い点も特徴です。
ヒアルロン酸注射の最大の利点は即効性です。施術直後から効果を実感でき、すぐに見た目の変化を確認できます。ダウンタイムも比較的短く、日常生活への影響が少ない点も魅力です。
ただし、ヒアルロン酸は時間の経過とともに体内に吸収されていきます。製剤の種類や注入部位によって異なりますが、一般的には6ヶ月〜2年程度で効果が薄れるため、継続的なメンテナンスが必要です。また、万が一仕上がりが気に入らない場合でも、溶解剤で元に戻せる安心感があります。
両施術は、シワや凹みの改善という共通の目的を持ちながらも、多くの点で大きく異なります。具体的には、以下の5つです。
ここでは、選択の判断材料となる5つの重要な違いを詳しく見ていきましょう。
最も大きな違いは、効果の持続期間です。ジュブゼンでは、生成されたコラーゲン組織が自己組織として定着するため、基本的に半永久的な効果が期待できます。一度の治療で長期間の改善が見込めるため、頻繁な通院やメンテナンス費用を抑えられるかもしれません。
一方、ヒアルロン酸注射は製剤によって異なりますが、6ヶ月〜2年程度で体内に吸収されます。厚生労働省認可のジュビダームシリーズなどでは18ヶ月〜24ヶ月の持続が報告されていますが、それでも定期的な追加注入が必要です。
個人差はあるものの、より長い効果を求めるのであれば、ジュブゼンのほうが良いでしょう。
即効性の面でも、両者に明確な違いがあります。ヒアルロン酸注射は施術直後から効果を実感できます。物理的にボリュームを補充するため、注入後すぐに凹みが改善され、見た目の変化を確認できる点が大きな特徴です。
対して、ジュブゼンは効果の発現に時間がかかります。2〜3ヶ月かけてじわじわと変化が現れ、6ヶ月程度で完成に近づきます。ジュブゼンは即効性がある程度見られる場合もありますが、基本的にヒアルロン酸ほどの即効性はありません。個人差があり、自己のコラーゲン生成を促す治療であるため、組織の再生に一定の期間が必要となるためです。
即効性を求めるのであればヒアルロン酸、即効性よりもゆっくりとした改善でも良いという場合はジュブゼンを選択するとベストです。
適応症状にも違いが見られます。ヒアルロン酸注射は、浅いシワから中程度の深さまで幅広く対応できます。ほうれい線やマリオネットライン、額のシワなど、さまざまな部位に応用可能です。表面的なボリュームアップに優れており、即座に見た目を改善したい場合に適しています。
ジュブゼンは、深いシワや重度の凹みに対して特に効果を発揮します。従来のヒアルロン酸では改善が難しかった深いほうれい線やクレーター状のニキビ跡、傷跡などにも対応できる点が大きな特徴です。真皮層からの根本的な再生により、より深い部分からの改善が期待できます。
安全性とリスクの面でも、両施術には違いがあるため注意が必要です。ヒアルロン酸注射では、稀にアレルギー反応や血管塞栓による血流障害のリスクが存在します。血管内に誤って注入された場合、皮膚壊死や失明などの重篤な合併症を引き起こす恐れがあります。ただし、適切な技術を持つ医師が施術を行い、万が一問題が生じた場合は溶解剤(ヒアルロニダーゼ)で対処できる点は安心材料です。
ジュブゼンも、極微量のヒアルロン酸を使用するため、理論上は血流障害のリスクが完全にゼロとは言えません。一般的なヒアルロン酸注射と比較すると、少量ずつ注入していくためリスクは低いと考えられていますが、完全に排除できるわけではありません。また、自己組織の再生であるため、一度形成されたコラーゲンを溶解することは困難です。
施術回数とトータルコストの観点からも、検討が必要です。
ヒアルロン酸注射は、1回の施術で即効性がありますが、効果を維持するためには定期的な追加注入が必要です。年に1〜2回のペースで通院を続けることになるため、長期的に見るとコストが積み重なっていきます。
ジュブゼンは、症状の程度によって1〜3回の施術がおすすめです。一度の施術費用は比較的高額ですが、長期的な効果が期待できるため、トータルコストの観点では、抑えられる可能性があります。ただし、自然な加齢変化は避けられないため、数年後にメンテナンス目的で追加施術を希望する方もいます。
視覚的に理解しやすいよう、両施術の主要な違いを表にまとめました。この表を参考に、それぞれの特徴を把握して、自分に合った施術を選択しましょう。
この比較表からわかるように、両施術にはそれぞれ明確な特徴があります。即効性を求めるか、長期的な効果を求めるか、改善したい症状の深さはどの程度かといった点を考慮して選択することが重要です。
ジュブゼンは根本的な肌質改善を目指す方に、ヒアルロン酸注射は即座に変化を実感したい方に適しています。また、両施術を組み合わせることで、それぞれの長所を活かした治療も可能です。医師とのカウンセリングを通じて、個々の症状や希望に応じた最適な治療計画を立てましょう。
自分に適した施術を選ぶためには、改善したい症状や希望する結果を明確にすることが大切です。具体的な事例を踏まえて解説します。
以下のような方には、ヒアルロン酸注射が向いています。
ヒアルロン酸の最大の特徴は即効性であり、施術のハードルも高くありません。そのため、初めて美容医療を受ける人にもおすすめできるのがポイントです。また、軽度のシワや凹みの改善にも適しています。
一方、以下のような方には、ジュブゼンが向いています。
一時的な効果が期待できるヒアルロン酸と比較して、ジュブゼンは根本的な肌質改善を目的としている施術です。効果が出るまでに時間がかかるものの、長期的な効果や自然な仕上がりを目指している場合はジュブゼンを選択しましょう。
実際のクリニックでは、両施術を併用するアプローチも行われています。たとえば、深い凹みにはジュブゼンを使用し、浅い部分や即効性が必要な部位にはヒアルロン酸注射を使用するといった方法です。
併用される理由は、それぞれの長所を活かすことで、より満足度の高い結果を得られる可能性があるためです。併用治療では、ジュブゼンで根本的な改善を図りながら、ヒアルロン酸で即座に見た目の変化を実感できるメリットがあります。
具体的な治療計画は、医師とのカウンセリングと個々の症状や希望、予算に応じて決定されます。遠慮なく相談しましょう。
どちらの施術を選ぶにしても、安全で満足のいく結果を得るためには、事前の確認が欠かせません。特に施術が成功するかどうかは、医師の技術と経験に大きく左右されます。
ジュブゼンは比較的新しい施術であり、適切な技術と知識を持った医師による施術が不可欠です。開発元である韓国での研修実績があるか、症例数は十分かといった点を確認しましょう。
ヒアルロン酸注射も、製剤の選択や注入の深さ・量の調整には高度な技術が必要です。血管走行に関する知識が豊富で、万が一の合併症にも適切に対処できる医師を選ぶことが重要です。
施術前のカウンセリングでは、期待できる効果と限界について率直な説明を受けることが大切です。過度な期待を持たず、現実的な改善の可能性を理解した上で施術を決定しましょう。リスクと副作用についても詳しい説明を求め、稀な合併症も含めて起こりうるリスクを十分に理解し、納得した上で施術を受けることが重要です。
ジュブゼンとヒアルロン酸注射は、どちらもシワや凹みの改善に効果的な施術ですが、作用メカニズムや持続期間、適した症状などが大きく異なります。即効性を求め、定期的なメンテナンスを負担と感じない方には、ヒアルロン酸注射が向いています。長期的な効果を求め、根本的な肌質改善を目指したい方には、ジュブゼンがおすすめです。
最も重要なのは、自分の症状や希望、ライフスタイルに合った治療法を選ぶことです。信頼できるクリニックで十分なカウンセリングを受け、医師と相談しながら最適な治療計画を立てましょう。