結論から言えば、ニキビ跡のクレーターをセルフケアで治すのは難しいと言わざるを得ません。クレーター状のニキビ跡は、ニキビが繰り返しできることで発生する炎症により、その周辺の毛穴の構造が破壊された結果、真皮が破壊されてできます。その際、肌に凹凸ができてしまうのです。
クレーター状のニキビ跡をセルフケアで治療しようと思うと、数ヶ月以上かかることも珍しくありません。クレーター状になるのを防ぐためには、ニキビの初期段階で治療を行うことが重要です。
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ニキビをそのまま放置してしまったり、同じところに繰り返しできてしまったりすると、ニキビ跡がクレーターとなってしまいます。肌が月のクレーターのように凸凹になってしまい、治療するのが困難です。しかし、治療法がないわけではありません。
本記事では、ニキビ跡の種類やできる原因、クレーターの種類および治療とその効果について解説します。ニキビ跡が気になるという人、クレーターをどうにかしたいと思っている人は、ぜひ参考にしてください。
結論から言えば、ニキビ跡のクレーターをセルフケアで治すのは難しいと言わざるを得ません。クレーター状のニキビ跡は、ニキビが繰り返しできることで発生する炎症により、その周辺の毛穴の構造が破壊された結果、真皮が破壊されてできます。その際、肌に凹凸ができてしまうのです。
クレーター状のニキビ跡をセルフケアで治療しようと思うと、数ヶ月以上かかることも珍しくありません。クレーター状になるのを防ぐためには、ニキビの初期段階で治療を行うことが重要です。
ニキビ跡とは、毛穴の炎症によって発生したニキビが落ち着いたのち、肌に現れるニキビの痕跡です。ニキビ跡が残るかどうかは、ニキビそのものの悪化具合やその人が持っている肌質によって変わります。同じようなニキビであっても、ニキビの種類や肌の治癒力に差があると、残る人とそうでない人がいることを覚えておきましょう。
ひと口にニキビ跡と言っても、いくつかの種類があります。先述のとおり、同じようなニキビができたとしても、肌の治癒力やニキビの悪化具合によって、残るニキビ跡は異なります。また、ニキビそのものの原因が異なる場合もあるため、一概に同じニキビ跡ができるわけではありません。
次章以下で、ニキビの種類とその原因について詳しく解説します。
クレーター状に跡が残ってしまうニキビは、ニキビの炎症が真皮層まで広がっている根深いニキビです。個人差はありますが、汚れた手でニキビを触る・潰すなどのアクションをしてしまうと、クレーター状のニキビ跡になりやすいと言われています。軽度のニキビであっても、触ったり潰したりした場所から雑菌が入り込み、ニキビが大きくなってしまうのです。
クレーター状のニキビ跡は非常に手強く、セルフケアやターンオーバーでは治すことが難しいとされています。程度によっては、かなりの時間を要することを覚えておいてください。
毛穴で炎症が起きたことで毛細血管が増加し、肌全体が赤みを帯びた状態のニキビ跡を「炎症後紅斑」といいます。炎症が治まってもしばらく赤みを帯びて、目立ってしまうこともあります。
ターンオーバーと呼ばれる肌の新陳代謝により、このニキビ跡は自然に消えるのが一般的です。しかし、肌の深い位置で炎症を起こしている場合は、完全に消えるまで時間がかかるでしょう。
ニキビの炎症が長引くことで、メラニンによる色素沈着を起こしてしまう場合があります。炎症のダメージから肌を守るためにメラノサイトが活性化し、ニキビのあった場所でメラニンが大量生成されるため、その部分だけ薄茶色に変色してしまうニキビ跡です。
炎症後紅斑と同じく、ターンオーバーを繰り返すことで徐々に色が薄くなっていきます。しかし、色素沈着が強く残ってしまった場合は完全に消えず、薄茶色いニキビ跡が残り続けるでしょう。
ケロイド跡とは、ニキビ跡の皮膚が盛り上がった状態のことです。これはニキビの炎症が真皮層まで広がったことが原因で、修復のためにコラーゲンが異常に生成された結果、発生するものとされています。
ケロイド跡は自然治癒が難しく、何らかの治療が必要です。放置しておくと悪化し、最悪の場合、手術が必要になるケースもあります。ケロイド跡が残ってしまった場合は、皮膚科や美容クリニックなどで早めに治療を受けましょう。
ニキビ跡のクレーターについてもいくつかの種類があります。代表的なものは次の3つです。
それぞれ発生する原因やおすすめの治療法が異なります。タイプごとに分けて、発生原因や特徴、治療法について見てみましょう。
ローリング型のニキビ跡は、直径5mm~1cm程度のものです。なだらかなくぼみを形成しており、上から見た形は類円系が多いとされています。比較的浅い部分にできており、表皮や真皮を破壊しているわけではありません。
ローリング型のニキビ跡は、本記事で紹介されるクレーター状のニキビ跡の中では、最も目立ちにくい種類です。しかし、光の加減や見る角度によって目立ってしまうため、気になってしまう人も多いでしょう。また、複数のローリング型のニキビ跡が密集してできることもあり、その場合は単体のニキビ跡よりも目立ってしまうかもしれません。
潰れた時に膿が出てくるタイプのニキビができた結果に生じるのが、ローリング型のニキビ跡です。その中でも、特に次の条件を満たすと発生すると言われています。
・異常な線維組織(コラーゲン)が生成されて組織が固くなり、皮膚を下に引き込む
・炎症が脂肪組織に達し、脂肪が委縮した結果皮膚が引き込まれる
表皮や真皮を傷つけているわけではなく、皮膚が下に陥没したことで発生するニキビ跡です。皮膚の浅い部分が、深い部分の線維組織に引っ張られていると考えてください。
おすすめの治療法としては、サブシジョンが挙げられます。サブシジョンとは、皮膚を引っ張っている異常線維組織を切断する方法です。ローリング型のニキビ跡は、この異常線維組織によって、表皮が下に引っ張られている状態です。この引っ張りを解消するための治療を試みます。他にも、トライフィルプロもおすすめの治療法です。
治療後は時間の経過とともに目立たなくなりますが、場合によってはヒアルロン酸を注入して表皮を押し上げる治療が行われることもあります。
ボックス型のニキビ跡は、上から見た形は楕円形ですが、ニキビ跡の底面がフラットになっているものです。横から見ると四角い形をしているため、ボックス型と呼ばれています。
先述したとおり、ボックス型のニキビ跡は底面がフラットなことが特徴です。また横から見た時にも、辺縁が垂直であるため、四角形に見えるという特徴があります。ローリング型のニキビ跡と同じく、異常線維組織によって表皮が下に引っ張られることが多いようです。
ローリング型であれば、化粧である程度のカバーができます。しかし、ボックス型は形状の関係で化粧だけではカバーしにくく、目立ちやすいという特徴もあります。
ボックス型のニキビ跡ができる原因として、先にできたニキビの修復期間中、同じ位置に新たなニキビができることで皮膚の一部が欠損するというものがあります。ニキビの修復には数ヶ月かかると言われています。その途中に別のニキビができると、皮膚の一部が欠損してしまうのです。加えて、皮下組織で異常なコラーゲンが生成され皮膚を下に引っ張りこんでしまうと、ボックス型のニキビ跡ができてしまいます。
また、炎症を起こした皮膚が過剰な線維化をした際にも、ボックス型のニキビ跡が形成されると言われています。
真皮に達していない浅いボックス型のニキビ跡では、サブシジョンもしくはトライフィルプロで治療を行います。角ばっている部分を除去したのち、ローリング型のニキビ跡と同じく異常線維組織を切断して自然治癒を待つのが、浅い場合のおすすめの治療法です。
浅い場合であれば、ダーマペンやピーリングによる治療もおすすめですが、ローリング型と同じくトライフィルプロがもっともおすすめの治療法です。
真皮層にまでニキビ跡が達してしまっている場合、サブシジョンによる処置をしたのちに、ヒアルロン酸の注入を行うのがおすすめの治療法です。クレーターが深くなるとその下部に強い癒着があるケースが多いとされています。そのため、浅い場合と同じ処置をしても再発する可能性があるのです。
ボックス型のニキビ跡が比較的深い場合、再発防止のためにジュベルックと呼ばれるコラーゲンブースターを注入します。ジュベルックの効果で剝離した部分にコラーゲン増殖を促し、表皮が押し上げられます。また、同じ部分の再癒着も防止可能です。
アイスピック型のニキビ跡は、上から見た時のサイズは小さいものです。その直径は2mm 以下と、ここまで紹介した他のニキビ跡と比較すると目立たなさそうに見えます。しかし、ニキビが皮下組織にまで達していることが多く、本記事で紹介するニキビ跡の中で最も治療が難しいと言われています。
皮下組織にまで達することもあるアイスピック型のニキビ跡は、上から見た時の大きさこそ小さいものの、真皮より深くまで達しているケースも珍しくありません。断面を見ると鋭利なアイスピックで刺されたような形になることから、この名前が名付けられました。
アイスピック型のニキビ跡ができる原因は、毛穴に沿って皮膚が繊維化するためです。長期間ニキビなどを原因として毛穴から膿が排出されることが原因で、徐々に毛穴が固くなっていきます。最終的には瘻孔と呼ばれる小さな穴が形成され、それがアイスピック型のニキビ跡となるのです。
比較的浅いアイスピック型であれば、炭酸ガスレーザーで患部を削り、自然治癒を待つのがおすすめの治療法です。浅いニキビ跡は、深くに達しているアイスピック型と比較すると直径が大きい傾向にあります。そのため、炭酸ガスレーザーで表面の皮膚を削るだけで目立たなくなるでしょう。
深いアイスピック型のニキビ跡の場合は、炭酸ガスレーザーで削り、その後サブシジョンで瘢痕組織を切断するのがおすすめです。ローリング型やボックス型と同じく、ニキビ跡が深い場合は底面に癒着があるケースも珍しくありません。奇麗に治すためには、サブシジョンによる治療が必要となります。
浅い場合も深い場合も、共通してオススメなのはトライフィルプロです。詳細は後述しますが、サブシジョンとヒアルロン酸注入を1回でできる治療法です。再癒着を防いで見た目を奇麗にするためにも、おすすめの方法といえます。
セルフケアでニキビのクレーター跡を治す場合、そのニキビ跡がどのタイプのクレーターなのかを判断する必要があります。先に紹介した種類の中では、比較的浅い部分にできたニキビ跡なら、セルフケアでの改善が見込めます。
ただし、浅いクレーター状のニキビ跡でも、瘢痕組織の切断が必要になる場合もあります。まずはセルフケアで治療してみるのも方法ですが、効果が見られないようであれば、病院の受診をおすすめします。
根本原因を解決していない浅いクレーター状のニキビ跡や、真皮層よりも下に達しているニキビ跡では、市販薬での解決ができません。市販されている薬では、肌の表面層にしか成分が行き届かず、肌の奥にまで届かないためです。
長期間使用し続けることで、クレーターになっている部分が滑らかになる可能性はあります。しかし、根本的な原因を解決しているわけではないため、完治しているわけではない点に注意しましょう。
クレーター肌の治療方法として、いくつかの治療法が存在しています。代表的なものは以下の7つです。
これらの治療法はセルフケアではできず、美容クリニックや皮膚科で専用の機器を使って治療を受ける必要があります。またニキビ跡の種類に応じて、適用される治療法が異なります。それぞれの特徴や注意点を詳しく見てみましょう。
トライフィルプロは、瘢痕組織にCO2ガスと薬剤を順番に注入し、ニキビ跡を目立たなくする治療機器です。瘢痕組織を水平に切り離して癒着を剥がすことで、コラーゲン生成が促進され、ニキビ跡を目立たなくすることができるのです。
サブシジョンと比較すると、出血やダウンタイムが少ないという特徴があります。また、色素沈着のリスクも少ないため、さまざまな治療を受けても効果がなかった人におすすめです。ニキビ跡以外にも、ほうれい線の解消にも役立ちます。
エリシスセンスとは、後述するポテンツァの次世代機です。ニキビやニキビ跡、毛穴や傷跡を奇麗にする効果が見込まれます。1回の処置でマイクロニードルによる創傷治癒と熱エネルギーによる引き締め、薬剤注入ができる機器です。
従来のポテンツァと比較した場合、ラジオ波を2回打つという大きな違いがあります。これをダブルショットと呼び、エリシスセンスの優位点でもあります。ポテンツァよりも、より高い効果を発揮するでしょう。
マイクロニードルは痛みが少なく、施術時間もおおむね20~30分程度と短いのが特徴です。ダウンタイムが短いのも嬉しいポイントです。一方で赤みや皮剥けなどの副作用が発生することもあります。長くても1週間以内で治まりますが、副作用がある点に注意してください。
サブシジョンとは、細い針を使って瘢痕組織を水平に切断する治療法です。カニューレと呼ばれる長い針を使い、ニキビ下にできている線維を切断します。ニキビ跡の具合によってはヒアルロン酸を注入しますが、その際もカニューレを使用します。
治療前に局部麻酔を施すため、痛みが少ないというのが特徴です。また、カニューレが細いため、皮膚へのダメージが少なく、内出血や手術痕ができにくいメリットもあります。副作用としては腫れや内出血、赤み・むくみがありますが、いずれも1週間程度で治まります。
サブシジョンは1~3回の治療を一定間隔で行う必要がある点に注意が必要です。また、場合によってはダーマペンなどの別の治療法と組み合わせることもあります。施術前に医師とよく相談し、どのような治療法で進めるのかを確認しましょう。
ヒアルロン酸の注入とは、ニキビ跡の下側にヒアルロン酸を注入して肌を盛り上げる治療法です。サブシジョンなどの治療法とセットで行われることが多く、再癒着を防ぐ目的で利用されることもあります。
ヒアルロン酸自体はもともと体内にある物質であるため、副作用が少ないという特徴があります。治療から1年もすれば体内に吸収されてしまい、跡も残りにくい治療法です。その特性から、ニキビ跡の治療だけではなく、ほうれい線やシワの治療でもよく使われます。
実際にヒアルロン酸を注入するかどうかは、医師の判断に任されます。ニキビ跡の具合によっては必要がない場合もあるため、治療前のカウンセリングでしっかりと意見を求めてください。
ダーマペンとは、複数の細い針が付いた医療機器を使い、ニキビ跡を目立たなくする治療法です。凹みが浅いニキビ跡や、サブシジョンと併用することがあります。
内側から凹みを改善するサブシジョンとは異なり、ダーマペンは外から針による刺激を与えてコラーゲンの生成を促進する方法です。ターンオーバーの促進やニキビ跡の毛穴の開き、色素沈着の改善などの効果が期待できます。
また、ダーマペンでの治療の際に、ピーリング製剤を利用することもあります。肌の再生力向上を促進するもので、肌質改善に役立つでしょう。サブシジョンと同様、こちらも複数回の治療が必要です。
レーザー治療とは、レーザーで皮膚の表面に細かい穴をあけて自然治癒力を活かしてクレーターを解消する治療法です。レーザーによって生じた傷を周辺細胞が修復しようとすることで、コラーゲンが生成されてニキビ跡が奇麗になるというものです。
レーザーを照射する関係で、麻酔クリームを先に塗布しなければなりません。また、術後すぐは赤みやひりつきが発生する場合もあります。術後10日間ほどは、肌にざらつきを感じることもありますが、これらは自然に治まっていく場合がほとんどです。
治療後は、赤外線に対するケアも忘れてはいけません。レーザー照射後の肌は敏感になっており、紫外線を受けることで色素沈着や日焼けが起こりやすくなっています。術後の日焼け対策については医師が事前に説明を行うため、しっかりと聞いておきましょう。
ポテンツァとは、細い針で肌の表面に穴を開け、針先から発する高周波を用いて治療する施術方法です。ポンピング機能が搭載されているため、使用する薬剤を均一に真皮層へ注入できるのがメリットです。
他の治療法よりも施術時間が長めであり、場合によっては2時間程度かかる場合があります。施術回数も複数回に及ぶ可能性もあり、他の治療法と比較すると劣ってしまう部分が目立ちます。しかし、ポテンツァ1回で3つの治療と効果を期待できるのは、大きなメリットと言えるでしょう。
インプラントやブリッジで歯の治療を行っている人や、金属アレルギーを持っている人は、ポテンツァの治療ができません。また、ケロイド体質の人も同様にポテンツァを選択できないことも要注意です。
ニキビ跡のクレーターは、その深さやタイプにもよりますが、セルフケアだけでは根本的な解決が望めません。根本的な解決をするのであれば、美容医療による治療を受けるのがおすすめです。クレーター状のニキビ跡はひとりでの解決が難しいものです。医師にしっかりと相談し、適切な治療法でニキビ跡を解消しましょう。
ニキビ跡のクレーターを治療する方法は、現代では非常に多くなりました。肌質やニキビ跡の状態を見極めて、適切な治療を受けるためにも、医師に相談してください。当院では、患者様の肌質や要望に応じて最適な治療法をご提案します。ニキビ跡のクレーターを目立たなくしたい、実際にどんな治療法なのか詳しく知りたい方は、ぜひ一度ご相談ください。